マーケティングという言葉は聞きなれた言葉だと思いますが、実際にどのような仕事をするのか、即座に思い浮かぶ人はそう多くはないかもしれません。マーケティングの仕事は多岐に渡りますが、主たる目的は「顧客のニーズを満たすことで、企業と顧客双方にメリットが生まれること」と言えます。本コラムでは、マーケティングの仕事について詳しく解説をいたします。
マーケティングとは？
まずは基礎知識のおさらいです。マーケティングとは、企業が市場環境を分析し、顧客のニーズを的確に把握することで、自社の製品やサービスを差別化し、競争優位性を確立するための活動のことです。市場調査、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、4P（製品、価格、流通経路、プロモーション）などのマーケティングミックスを活用して顧客との関係性を構築、長期的な収益の最大化を目指します。近年では、ビッグデータ分析やAIの活用により、顧客一人ひとりの行動や嗜好を予測し、パーソナライズされたマーケティング戦略が重要となっています。
マーケティングの仕事内容
マーケティングの仕事内容は多岐に渡りますが、代表的な仕事内容をご紹介します。
【主な仕事内容】
市場調査・分析
マーケティングの仕事においては、まず市場調査・分析をおこない、顧客のニーズを深く理解します。具体的には、市場トレンドや消費者の購買行動、競合他社の動向を調査・分析し、市場の状況を掴みます。これらの情報をもとに、市場に受け入れられ顧客の心を掴むような商品やサービスを企画・開発します。
商品企画・開発
商品企画・開発とは、新しいサービスや商品などを生み出す業務で、これもマーケティング担当者の重要な仕事です。市場調査や分析での結果をもとに、自社の強みや狙いたいターゲット、顧客ニーズを総合的に考慮し商品・サービスを企画開発します。
商品・サービスの改善も同様に重要な仕事です。商品・サービスの改善点や課題を見出し、改善策を練り、改良していきます。
マーケティング戦略立案
商品やサービスを効果的に販売するための戦略を立てます。顧客像や市場ニーズを踏まえ、どのように顧客にアプローチしていくのか、具体的な戦略を描き、マーケティング活動の方向性を定めます。
販売・営業促進
顧客にどのようなアプローチをすれば良いのかといった販売・営業戦略を立てることも、マーケティングの重要な仕事のひとつです。キャンペーンやイベントの実施など、販売促進するための施策を企画・実行します。また、営業の体制構築や販売計画策定といった業務も含まれます。
さらには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のロイヤリティ向上も目指します。
広告・宣伝
良い商品やサービスを企画開発しても、多くの人に認知してもらわなければ当然売上は伸びません。できるだけ多くの人に自社の商品やサービスを知ってもらうため、広告・宣伝をうまく活用する必要があり、そのためのプロモーション戦略策定が肝要です。テレビ、インターネット広告、SNSなど、さまざまな広告媒体を活用して、自社の製品やサービスを広く告知します。
分析
顧客の購買行動や嗜好を分析し、顧客一人ひとりに合わせたマーケティング施策を展開します。
顧客との関係性をより深めるために、CRM（顧客関係管理）システムなどを活用するケースも増えています。
事業会社と支援会社それぞれのマーケティング
自社でマーケティングの仕事をするのは、大きく分けると「事業会社」と「支援会社」の2種類の企業内のマーケティング担当者で、それぞれにおいてマーケティングの目的や業務内容が異なります。
事業会社
事業会社とは、自社で企画・開発した商品やサービスを世に出す事業をおこなっている企業のことです。具体的には、製造業であるメーカーや小売業のスーパー、家電量販店、IT系のシステム開発会社などが事業会社にあたります。事業会社のマーケティング部門は、より多くの顧客に自社の商品やサービスを知ってもらい、買ってもらうための戦略を立て、実行する部門です。
支援会社
支援会社は、他の企業のビジネスをサポートするいわば専門家集団です。具体的には、広告代理店やコンサルティング会社、SIer＊などが支援会社にあたります。支援会社のマーケティング部門では、クライアント企業の課題解決に向けて、最適なマーケティング戦略を提案し、実行を支援します。そのため、より専門的なマーケティング知識が求められます。
＊SIer ：System Integratorの略。IT業界でシステム開発を請け負う企業
マーケティング職に向いている人
ここまで、マーケティング担当者の具体的な仕事内容等について触れてきましたが、マーケティングの仕事に向いている人とは、いったいどのような人でしょうか。
新しいことに興味がある人
新しい情報やトレンドに敏感で、ビジネスに活かせるかを常に考える人はマーケティングの仕事に向いているでしょう。また、世の中の変化や消費者行動に興味があり、それらを基に新しいアイディアを生み出す能力が長けている人も向いています。
コミュニケーション能力が高い人
社内や外部の関係者と円滑にコミュニケーションが取れることがとても重要なため、コミュニケーション能力の高さが求められます。また、自分の考えをわかりやすく説明し、説得する能力があるとさらに良いでしょう。
数字に強く、論理的な思考力が高い人
市場調査結果や売上データを分析し、そこから意味を読み解く論理的思考力が必要です。仮説を立て、検証し、改善していくことを楽しめる人だとなお良いでしょう。
顧客視点で物事を考えられる人
常に顧客のことを考え、顧客の視点で物事を考えることが重要です。特に商品やサービスの企画・開発時においては、この視点を欠かすことができません。
まとめ
マーケティングの仕事は、企業と消費者との懸け橋になることで企業成長に貢献する、とてもやりがいのある仕事と言えます。また、マーケティングの知識やスキルを有した人材は、多くの企業や業界にとって貴重な人材であるため、マーケティングの経験があることは就職や転職の際に有利に働くことが多くあります。新しい情報を得ることが好きで多くの人と関わる仕事に興味があるのであれば、マーケターを目指してみるのも良いのではないでしょうか。
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