マーケティングオートメーション(MA)は、マーケティング活動に関する業務を自動化・効率化するための仕組みやツールのことです。マーケティングオートメーション(MA)を活用することで、マーケティング活動を自動化し、より効率的かつ効果的にターゲット顧客にアプローチすることが可能になるため、マーケティングオートメーションは近年企業のマーケティング活動において不可欠なツールとなりつつあります。。本コラムでは、マーケティングオートメーション(MA)の基本概念からその主な機能、ツール選びのポイントまでを解説します。マーケティングオートメーション(MA)の導入を検討している方や、もっと効率的にマーケティング活動を行いたいとお悩みの方はぜひご一読ください。
マーケティングオートメーション(MA)とは
そもそもマーケティングオートメーション(MA)とは何か
オートメーションとは日本語で“自動化”のことで、企業のマーケティング活動を“自動化”するのがマーケティングオートメーション(MA)の役割です。つまり、マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング施策に関する業務を自動化・効率化するための仕組みやツールのことをさし、具体的には、マーケティング施策の実施過程で発生するメール配信や自社のホームページ訪問者の分析といったさまざまな単純作業を自動化し、効率化を図るためのシステムです。また、社内に存在するさまざまなデータを統合し、顧客一人ひとりに対する効果的なアプローチを可能にします。特に、見込み顧客情報の獲得から商談化までのフェーズを効率化し、商談獲得数の最大化に貢献します。
企業が受注数を増やすには、多くの商談機会が必要です。しかし、すべての見込み顧客がすぐに商談に応じるわけではなく、情報収集や比較検討を経て商談化することも多いのが現実です。特にBtoBでは、商談化までに数ヶ月から数年かかることもあります。この間、見込み顧客と定期的に連絡を取り続ける必要がありますが、営業担当者が全員に対応するのは非効率です。そこで、マーケティングオートメーション(MA)を活用すれば、見込み顧客リストを管理し、一斉メール配信などを活用して連絡を取り続け、商談化の可能性が高い顧客を可視化できます。これにより、マーケティング・営業活動を自動化・省力化し、機会を逃すことなく商談獲得数を増やすことができるのです。
マーケティングオートメーション(MA)が必要となった背景
マーケティングオートメーション(MA)が必要となった背景には、いくつかの要因があります。その一つが、インターネットやスマートフォンの普及により、顧客の購買行動が大きく変化したことです。顧客は自分で情報を収集してから購入を検討するようになったことで、これまでのアウトバウンドマーケティング(企業から顧客への一方的なアプローチ)ではなく、インバウンドマーケティング(顧客が自ら情報を探し、企業と接触する)へのシフトが求められるようになりました。
また、マーケティングの効率化も要因の一つです。従来のマーケティング手法では、多くの手作業が必要であり、時間と労力がかかっていました。近年、日本国内での労働人口の減少に伴う人手不足や働き方改革の推進などの影響もあり、業務の効率化は多くの企業の課題となっています。MAツールを導入することで、メール配信や顧客データの管理、リードナーチャリング(見込み客の育成)などの業務を自動化し、効率化することができます。
さらに、顧客一人ひとりに対してパーソナライズされたアプローチが求められるようになったことも、マーケティングオートメーション(MA)の必要性を高めた要因の一つです。MAツールを使うことで、顧客の行動データを分析し、最適なタイミングで適切なコンテンツを提供することが可能になります。
MAの主な機能
続いてMAツールに搭載されている基本的な機能についてご紹介します。
MAが自動化できる主な作業は、「見込み顧客情報の一元管理」「見込み顧客との継続的なコミュニケーション」「成約確度の高い見込み顧客の絞り込み」などです。では、それぞれについて説明していきます。
見込み顧客情報の一元管理
獲得したリードを管理する機能です。見込み顧客と継続的にコミュニケーションを取るためには、社内の見込み顧客の情報を一元化することが重要です。
具体的には、自社のホームページで獲得した見込み客の情報や、セミナーなどで名刺交換をした企業、過去に取引があった個人や企業などの情報をツールに内蔵されたデータベースに登録して管理します。
登録した見込み顧客の情報は必要に応じて更新したり、タグをつけて管理したり、削除したりすることも可能です。
見込み顧客の情報が社内で一括管理されていない場合、同じ顧客に対して複数の担当からアプローチを行ってしまい、トラブルになることもあります。逆に、管理がされていないことで連絡が滞ったことによって商談を消失することも少なくありません。
MAによって一元管理することで、リードに対して的確なアプローチや営業活動が可能となります。MAには、そういった機能が多数搭載されています。例えば、エクセルや各種システムに蓄積されている見込み顧客情報をまとめてツールに取り込むことができる「リード一括インポート機能」や、フォーム経由で獲得した情報が自動的にツールに登録される「フォーム作成機能」、過去の接触履歴や見込み度合いをタグ付けしたり、業種、従業員規模といった属性ごとにリード情報を整理する「リード整理機能」などがあります。
見込み顧客との継続的なコミュニケーション
見込み顧客とコミュニケーションをとる方法は色々ありますが、現代のビジネスにおいては、メールやWebが中心となる場合が多いでしょう。そのため、MAツールにはメール配信に関わる多くの機能が備わっています。
例えば、特定の条件を指定し、それに合致する顧客を抽出してメールを送る「セグメントメール配信機能」や、高度なスキルがなくても簡単にHTMLメールを作成できる「HTMLメール作成機能」、特定電子メール法で規定されているオプトアウト(受信拒否)の管理ができる「オプトアウト(受信拒否)管理機能」などがあります。
継続的にメールマガジンを配信することは見込み顧客の育成のために重要な役割を果たしますが、一方で、適切なタイミングと内容で配信を継続することはなかなか大変なことです。MAツールを活用することで、見込み顧客の属性や条件などに応じて必要なタイミングで効率的なメール配信をすることが可能となります。
成約確度の高い見込み顧客の絞り込み
売上に貢献するためには、数あるリード(見込み顧客)の中から成約確度の高いリード(ホットリード)を選び出して営業部門に取り次ぐことが重要となります。
MAツールには、個々のリードの属性やオンライン・オフラインの行動履歴などをもとに、成約確度を推測するための「スコアリング」という機能が搭載されています。
また、抽出したホットリードリストを効率よく営業部門に取り次ぐことができる、「SFA(営業支援ツール)との連携機能」が搭載されているツールもあります。これらの機能を活用し、効率的な営業活動に貢献することが可能となります。
MAツール選びのポイント
ここまで、MAツールの機能についてご紹介してきましたが、さまざまなMAツールがあり、どのMAツールにも先述のすべての機能が備わっているわけではありません。重要なのは、自社のマーケティング活動に最適な機能が搭載されているMAツールを導入することです。
自社に合ったMAツールを選ぶためには、各ツールをしっかり比較する必要があります。事前に自社の状況や目標を明らかにして、どのような機能が必要なのかをしっかりと認識します。その上で、自社にあったMAツールの検討に入りましょう。
ツールを比較するときに押さえておきたいポイントをご紹介します。
BtoB向けか、BtoC向けか
BtoBとは「Business to Business」の略で、企業間で行われる取引のことです。これに対し、
BtoCとは「Business to Consumer」の略で、企業が一般の消費者に対してモノやサービスを提供する取引形態のことを言います。
MAツールは、BtoB向けかBtoC向けかによって搭載する機能に違いがあります。この点は最も重要なポイントとして最初に確認しておきましょう。例えば、BtoB企業は「リードナーチャリング(見込み顧客の育成)機能が充実しているか」「SFA(営業支援ツール)との連携ができるか」「問い合わせフォームなどのコンテンツ作成ができるか」といった点がポイントとなります。一方、BtoC企業では、「顧客の膨大なデータを管理できるか」「アプリやSNSなど多数のチャネルに対応・連携できるか」「顧客行動の分析機能があるか」などがポイントになります。
既存システムや使用したいシステムと連携できるか
MAツールは他のツールやシステムと連携することも可能です。MAツールを選ぶ際は、自社の既存ツールやシステム、今後使用したいと考えているツールやシステム等と連携できるかも確認しておくことが重要です。
サポートが充実しているか
MAの導入後、使いこなせずに、投資した時間や費用が無駄になることがないように、サポートが充実していて、何かあれば相談できる体制があることも重要なポイントです。運用が軌道に乗るまでは、細かい疑問点が生じる可能性が高いため、チャットサービスやメールなどのサポート体制が充実しているかも確認しておくと安心です。
まとめ
マーケティングオートメーション(MA)は、うまく使いこなすことができれば、業務を効率化し、より多くの売上につなげることができるすばらしいシステムです。昨今の人手不足の解消や働き方改革にも貢献することができるでしょう。一方で、運用がうまくいかないと、宝の持ち腐れとなってしまいます。導入の際には、このコラムでご紹介したポイントをおさえながら、自社に合ったシステ厶はどれなのかを十分に比較検討されることをおすすめします。マーケティングオートメーション(MA)を活用して、効率的で効果的なマーケティング活動をめざしましょう。