皆さんは、モノを買うときに、ただ「欲しい」と思うだけでなく、「この商品を買ったら、世の中が少しでも良くなるかも」なんて考えたことはありますか?
現代では「ただ欲しいものを買う」だけでなく、それを買うことによって「社会貢献ができる」「世界をより良くすることができる」ことも商品やサービスを選ぶ基準にする人が増えています。この「価値主導」の考え方が、「マーケティング3.0」の世界です。
今回は、マーケティング界の第一人者と呼ばれるフィリップ・コトラーが提唱した、「マーケティング3.0」について解説します。
マーケティング 3.0とは
マーケティング 1.0、2.0について
マーケティング3.0について説明する前にまず、同じくフィリップ・コトラーがこれまでに提唱したマーケティング 1.0、2.0についても簡単に確認しておきましょう。
マーケティング1.0「製品主義」
マーケティング1.0は製品中心のマーケティング概念です。製品を販売することに焦点があたり、マーケティングの4Pが重要視されていました。4Pは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」の4つから構成されており、製品が中心になっています。
この時代のマーケティングは、消費者の要望よりも製品の機能性や品質に焦点があてられていました。消費者の選択肢が限られていたため、品質の高い製品を効率的に生産し、多くの人に供給することが主な成功要因となり、生産者が売りたいものを作り、その機能や品質を訴えるマーケティングが成り立っていました。
マーケティング2.0「消費者志向」
マーケティング2.0は、「消費者が何を求めているのか」をテーマとした、消費者志向のマーケティング概念です。マーケティング1.0の製品主義とは反対に、消費者中心の概念で、消費者が求めるものは何かに焦点を当て、他社との差異化が求められるようになりました。類似製品も多く登場し消費者に選択肢が増えたため、各企業は価格競争に陥りました。
そのため、大量生産・大量消費という考え方から、「どうすれば消費者に選んでもらえるか」「どのような製品が消費者を満足させられるか」という考え方へと変化していき、消費者を満足させ、彼らをヘビーユーザーとしてつなぎとめることに焦点があたるようになりました。
マーケティング 3.0の特徴
マーケティング3.0は、フィリップ・コトラーが提唱した「どれだけ社会に貢献しているか」「その製品が世界をよりよくするものか」をテーマとした、価値主導のマーケティング概念です。現代では、企業は単に製品やサービスを提供するだけでなく、環境問題や教育など「より良い環境づくり」や「社会貢献」といった、社会に良い影響を与え、企業価値を高める取り組みに力を入れることが求められるようになりました。
例えば、フェアトレードの原料の導入や、環境保護活動、地域社会への貢献など、環境保護や社会貢献を重視した企業戦略を採用した企業の成功が目立つようになったのも、マーケティング 3.0の特徴といえるでしょう。
また、マーケティング3.0で特徴的なのは、「企業と消費者」の関係性を再定義している点です。企業は消費者を製品やサービスを購入する単なる「顧客」ではなく、マインドをもった「人」として捉え、「人」が持つ深い価値観に応えて、彼らの大切にしているものや属しているコミュニティの発展に寄与していくことが必要であるとしているのです。
ソーシャルメディアが普及し、消費者が発信する力を持った現代では、消費者から共感を得ることができれば、多くの人に共有や拡散がされるようになりました。
自分が共感したものをSNSで気軽に共有し、その投稿内容に共感した人達が更に拡散していく・・・という流れが定着しています。このように、現代の消費者は、企業から一方的に提供される情報だけではなく、消費者同士の横のつながりを重視し、より信用する傾向にあります。
企業と消費者の関係性は垂直的な一方通行のものではなく、社会問題の解決や人々の価値観に根ざした活動や生活を支援していく横のつながりを重視した関係性に変わってきているのです。
よい商品やサービスを作り出すことはもちろんのこと、どんな社会にしたいか、人々がどんな生活を望んでいるかといった広い視野を持たなければ、消費者の共感を得ることができないと考えられています。
マーケティング3.0を実践するには、短期的な利益追求や差異化ばかりを追求するのではなく、社会や消費者にとってよいことを取り組みの目的にするよう意識を変える必要があります。自社が大切にする価値を明確にし、その価値を実現するために消費者と共に行動していくことを意識して共感価値の提供をしていくのです。
マーケティング 3.0で重要な「3i」とは
マーケティング3.0では「3i」と呼ばれるモデルによって、事業を評価する必要があります。「3i」はマーケティング3.0の主軸となる考え方となりますので、しっかり理解しておくことが必要です。
「3i」とは、3つのi(identity・image・integrity)の頭文字を取ったものです。
ブランド・アイデンティティは、消費者の心理の中における位置づけのことを指します。
また、競合他社がいる市場で、ブランドが消費者に認知され、関心をひくためには、ポジショニングはユニークな位置づけであることが必要であり消費者のニーズや欲求に対して意味を持っていなければなりません。
ブランド・イメージは、消費者に良好な印象を与え、感情的なニーズを満足させることを指します。
例えば、持続可能な製品の開発や環境保護活動への寄付を行うことで、環境保護に積極的に取り組む企業としてのイメージを持ってもらうことができます。
ブランド・インテグリティは、ブランドに対する誠実さのことを指します。
そのブランドが約束を果たしていない場合には、ソーシャルメディア等によってブランドの嘘が暴かれることになります。例えば、嘘のレビューを書いたり、批判的なソーシャルメディアの投稿を削除したりすると、消費者からの信頼を失います。誠実に約束を果たしていく姿勢こそが、消費者との間に信頼を築くこととなるのです。
モノを売るだけの時代は終わり、企業は社会の一員として、より大きな役割を担うことが求められるようになりました。マーケティング3.0は、単に商品やサービスを提供するだけでなく、消費者の心に響き、社会に貢献するような価値を提供することを重視する考え方です。
従来のマーケティングが製品中心、顧客中心だったのに対し、マーケティング3.0は「人間中心」「価値観中心」のマーケティングへとシフトしています。企業は、消費者を単なる顧客ではなく、同じ社会を生きる一人として捉え、共感を得られるような価値を提供していくことが重要となります。
現代の消費者は、購入する製品やサービスが社会にどのような影響を与えるかを考えるようになっています。マーケティング3.0を実践することで、企業は消費者との深い信頼関係を築くことができるのです。
これからのマーケティングは、利益追求だけでなく、社会全体に対する貢献を重視する時代です。企業と消費者が共に手を取り合い、持続可能な社会をめざしていくことが求められています。このコラムをきっかけに、マーケティング3.0の考え方を取り入れて、より良い社会を目ざしていきましょう。
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