「BtoBマーケティング」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
BtoBマーケティングは、企業が他の企業に対して商品やサービスを販売するための戦略です。ただし、BtoBマーケティングはただ商品を売ればよいというものではありません。顧客企業の課題を解決し、共に成長するためのパートナーシップを築くことが重要です。このコラムでは、そんなBtoBマーケティングの基本から、具体的な流れや施策の種類、成功のポイントまでを解説します。新規顧客獲得や、既存顧客の継続率の低迷にお悩みの方はぜひご一読ください。
BtoBマーケティングとは?BtoCとの違い
BtoBとは「Business to Business」の略で、BtoB(B2B)マーケティングとは、企業間取引に特化したマーケティング手法のことです。
ここでは、近年のBtoBマーケティングの変化や、BtoCとは何が異なるのかを説明します。
BtoBマーケティングの変化
近年のインターネットやスマートフォンの普及、デジタル化の加速などを受けて、BtoBビジネスの顧客獲得・維持活動は従来の対面営業型から、Webを中心としたものに変化しています。営業担当者が直接取引先企業に対して商品やサービスの説明をしなくても、取引先企業がすでにインターネットから多くの情報を得ていることも少なくありません。企業における購買プロセスは、今や営業担当者と直接会うまでに多くの過程が終わっているとも言われているのです。
こうした時代の流れに対応していくために、BtoBマーケティングも変化しています。より先回りした情報提供や、取引先企業との早期の関係構築など、現代のビジネススタイルに合う対応が求められるのです。
BtoBマーケティングとは?BtoCとの違い
前述したように、BtoBとは「Business to Business」の略で、BtoBマーケティングとは、企業間取引に特化したマーケティング手法のことを言います。
一方、BtoCとは「Business to Customer」の略で、企業が消費者に対して商品やサービスを販売することをさします。BtoCは企業同士の取引となるBtoBに比べると単価が低いため、購買プロセスに関わる人数は少なく、購買までの期間は短くなる傾向にあります。
これに対してBtoBは、意思決定者が多い、購入単価が高い、製品・サービスが購入されるまでの検討期間が長いといった傾向にあります。特に、中〜大企業の場合は、多数の承認フローが発生するため、検討期間が長期化するのが特徴です。
BtoBマーケティングを実施する際には、このようなBtoBの特徴をしっかりと捉えてマーケティングを行うことが重要となります。
BtoBマーケティングの流れ
BtoBマーケティングの流れは、大まかに言うと、見込み顧客の創出 → 見込み顧客の育成 → 見込み顧客の選別 → 商談・受注→契約継続となります。
では、各段階について説明していきます。
まずはじめに、将来の取引先となる見込み顧客を獲得していきます。見込み顧客の創出や獲得のプロセスは「リードジェネレーション」とも呼びます。
自社の顧客となる可能性があるターゲット層との接点を作り、電話番号やメールアドレスなどの個人情報を開示してもらうようアプローチすることで見込み顧客(リード)を獲得します。
見込み顧客を創出する手法は色々ありますが、自社ホームページやSNSの運営、広告出稿、展示会出展、セミナー開催といった手法が代表的なものです。
取得した見込み顧客のリストから、すぐに顧客を創出するのは難しいのが現実です。見込み顧客は、あくまでも取引先となることが見込まれているだけで、必ずしも将来的に商品・サービスを購入してくれるとは限りません。見込み顧客の獲得後、何のアクションもせずに放置してしまうと、取引先になる可能性は低くなってしまいます。
そこで、BtoBマーケティングの次の段階が、見込み顧客を育成する「リードナーチャリング」となります。この段階では特にメールマーケティングが効果的とされています。ターゲット一人ひとりに合わせた情報や価値あるコンテンツを提供することが重要です。
自社の商品・サービスの内容や魅力をより深く知ってもらうために、適切なタイミングでアプローチするなどのアクションを続け、見込み顧客から取引先へと育成していきます。
見込み顧客の中には、製品・サービスに高い関心を持っている企業もあれば、そうでない企業もあります。これを選別する作業が「リードクオリフィケーション」です。クオリフィケーションとは「選別」を意味し、育成した見込み顧客の中から購入確度の高い見込み顧客(ホットリード)を見つける作業のことをさします。
リードクオリフィケーションでは、見込み顧客の属性や興味・関心、行動に応じて点数(スコア)を付与し、この点数を基準として見込み顧客の購買意欲の度合いを判断する「スコアリング」という手法がよく用いられます。例えば、メルマガを開封した見込み顧客に2点、資料請求をした見込み顧客に5点、セミナーに参加した見込み顧客に10点など、見込み顧客の行動によって点数を付与していき、一定の点数を超えた見込み顧客を、ホットリードと定義します。
このホットリードを営業部門に提供することで、営業担当が確度の高いリードに優先的に注力できるため、効率的な営業活動が可能となるのです。
購入確度の高い見込み顧客(ホットリード)に対して、営業が直接的なコミュニケーションや商談を開始し、受注へとつなげていきます。
商談の際には、見込み顧客を獲得した段階からナーチャリングまでで、見込み顧客がどのような行動を起こしてきたのかを、しっかりと把握しておく必要があります。
メールマガジンを頻繁に開封してくれた、過去にセミナーに参加したことがある、などのこれまでの行動を把握し、見込み顧客のニーズや期待に合った提案をすることにより、受注率の向上につなげます。
サブスクリプション型のようなビジネス形態の場合、商談・受注して終わりではなく、いかに顧客に継続してサービスを利用してもらえるかが重要になります。
このため、受注後のフォローアップや顧客関係の維持は、BtoBマーケティングにおいて非常に重要です。自社の製品やサービスを通じて顧客が成功できるよう支援するため、顧客からの悩みや不明点に回答することや、顧客の課題解決のためにサービスの利用状況を把握し、積極的にアドバイスしていくことも必要となります。
このように、BtoBマーケティングでは、単に受注して終わりではなく、顧客との中長期的なコミュニケーション設計が重要となります。
BtoBマーケティングの施策の種類
では次に、BtoBマーケティングの主な施策をご紹介します。
オウンドメディアの運営
企業紹介や事業内容を掲載するコーポレートサイトに加えて、見込み顧客を集客するためのオウンドメディアを運営するBtoB企業が増えています。
オウンドメディアとは、自社で運営をするメディアでのことです。オウンドメディアは自社商品・サービスの認知拡大や、顧客との接点を作ることを目的としており、ブログ、ECサイトなどもオウンドメディアに含まれます。
オウンドメディアは自社で所有しているメディアであるため、自由にコントロールできるだけでなくオリジナリティを出しやすく、多くの企業に広く認知してもらうことで、見込み顧客の獲得につながることが期待できます。
なお、オウンドメディアの運営にあたっては、自社のメディアが自然検索で上位に表示されるためのSEO対策も合わせて行うことを忘れてはなりません。
Web広告
BtoBマーケティングでは、ターゲットとなる限定された企業に対して情報を届ける必要がありますが、この点でWeb広告は、ターゲットを絞り込んでコストを抑えながら出稿できるので、BtoBマーケティングに適していると言えます。
例えば、検索したキーワードに合わせて検索結果ページの上部に表示される「リスティング広告」や、広告欄に表示される「ディスプレイ広告」などがあります。リスティング広告なら購買意欲が高い層、ディスプレイ広告ならまだニーズを自覚していない潜在層などにアプローチが可能となります。自社の目的に合ったWeb広告を選ぶことが大切です。
展示会・セミナー・ウェビナー開催
BtoBマーケティングにおいては、商品・サービスの展示会やセミナーを開催する方法も見込み顧客の獲得において有効です。実際に商品やサービスを体験してもらえるため、新規見込み顧客を数多く獲得できる可能性があります。
また、すでに商品やサービスに対して興味を持っているユーザーが展示会やセミナーに参加することにより購入までの距離が縮まることもあるため、見込み顧客の育成にも活用できる方法です。
近年では、Web上でセミナーを開催するウェビナーという手法が主流になりつつあります。ウェビナーの場合、開催する企業側は会場費用などの削減ができ、参加する企業側も移動交通費や移動時間が省け、気軽に参加できるなどのメリットがあるため、人気の手法として定着しています。
メールマガジン配信
メールマガジン配信は、獲得済みの見込み顧客に対して定期的に接点を作れることがメリットです。新製品やセミナーのお知らせなどの自社視点の案内だけではなく、見込み顧客にとって有益な情報を伝えるように心がけましょう。メールマガジンを通して自社の存在を意識してもらい、つながりを持つことが有益であるという印象を持ってもらうことによって見込み顧客の育成につながります。
BtoBマーケティングを成功させるためのポイント
BtoBマーケティングを成功させるためには以下のようなポイントを抑えておく必要があります。
見込み顧客のニーズを深く理解する
BtoBマーケティングでは、見込み顧客がどのような悩みを抱えているのか、どのようなゴールを求めているのかなど、それぞれの見込み顧客のニーズを深く理解することが重要となります。
企業が獲得した見込み顧客には、業種・職種・役職といった異なる属性の方が含まれています。それぞれの見込み顧客の状況をしっかりと把握し、ニーズに合った提案を適切なタイミングで行うことが必要です。
部門間の連携をする
BtoBマーケティングでは、見込み顧客獲得から受注・継続利用に至るまでの見込み顧客とのつながりが重要となりますが、これら一連の流れは、一般的な企業では、「マーケティング部門」「営業部門」「カスタマーサクセス部門」など、いくつかの組織の境界を超えて実施されることが多いため、部門間で十分な情報共有や連携がされていないケースがよく見受けられます。
例えば、情報共有がされていない場合、獲得したリードが最終的に受注につながったのかを、マーケティング担当者が全く知らないといったケースがあります。このような状況だと、マーケティング部門が、受注につながった「質のいいリード」と受注につながらない「質の良くないリード」とを無選別に獲得し続けてしまうという事態が起こり得ます。また、せっかく営業が受注した顧客についても、受注時に得られた情報がカスタマーサクセス部門に伝わっていないと、その後の契約継続に向けた取り組みにも悪影響が出るかもしれません。このように各部門が担う役割の後工程をしっかりと把握して、部門間で情報共有を行うことが企業の売上貢献につながるのです。関係部門が一丸となって活動できる体制を構築しましょう。
適切なタイミングでの施策実施
複数の意思決定者が関与し、検討から購入・導入までが長期化しがちなBtoBマーケティングにおいては、どのタイミングで誰に対してどんな施策を打つのかによって結果にも差が出ます。適切なタイミングで見込み顧客にアプローチする上で、リードナーチャリングが重要な役割を果たします。リードナーチャリングを効果的に行うためには、顧客の属性や興味関心、検討度合い、行動履歴などの情報を把握しておくことが必要です。こうした日々の積み重ねが適切なタイミングでの施策実施を可能とするのです。
また、リソース的に手動で管理することが難しい場合、MAツール*を活用するのもひとつの解決方法です。
* MAツール(マーケティングオートメーションツール):マーケティング活動を自動化・効率化するためのソフトウェア
BtoBマーケティングについてご理解いただけたでしょうか。
BtoBマーケティングはBtoCとは違って、意思決定者が多く、購買プロセスが長くなるのが特徴です。そのため、「見込み顧客の創出 → 見込み顧客の育成 → 見込み顧客の選別 → 商談・受注→契約継続」というBtoBマーケティングの流れをしっかりと理解し、それぞれの段階で適切な対応を取ることが成功の鍵となります。
このコラムでご紹介したポイントを押さえて、あなたのビジネスにもBtoBマーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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